前回の記事→【はじめに】骨董の器ってどんなもの?
当店で扱っている器のほとんどはとても古い時代に生まれたものです。
その上、手作り品なので同じデザインや形をしていても個体差があるのが特徴です。
人間のようにそれぞれ違った個性を楽しめるのが骨董の器の趣でもありますが、
最初は「時代の味」と「傷み」の違いが分からず戸惑うことも…
生活に骨董を取り入れて楽しんでいただくために、この記事では「窯傷」と「傷み」の違いについてお話ししていきます。
焼成時に出来た「かまきず」は基本的に無傷扱いとなります。
現代では陶磁器は電気窯やガス窯で焼かれることがほとんどですが、江戸時代や明治時代は「登り窯」で焼かれていました。
例えば、窯の中を舞う薪の灰が付着した時に出来る「ふりもの」は登り窯で焼いた証拠でもあります。
器の景色として、あえて窯傷を探してみるのも一つの楽しみ方です。
↑「ふりもの」
↑「くっつき / ひっつき」
焼成中に窯の中で他の器の一部がくっついた跡です。
↑「貫入(アマテ)」
表面の釉薬部分のみに入った亀裂のことです。
焼成から冷ます際に素地と釉薬の収縮率の違いにより起きる現象です。
↑「擦れ」
陶磁器は、経年による釉薬や金彩の擦れは経年変化によるものとして無傷扱いとなります。
↑「欠けの上から釉薬が掛けられているもの」
通常欠けは傷扱いですが、上から釉薬が掛けられている場合は製作過程で生じたもののため無傷扱いとなります。
職人が「これで良し」とした意匠でもあります。
↑「絵付けの個体差」
上記の写真の器は、同じ人物文でも青年とお爺さんくらいの違いが見られます。
絵付けの個体差は手描きならではです。
↑「歪み」
湯呑として使う場合、歪みで楕円形になっていると手にフィットして持ちやすいと思うことがあります。
出来上がってからついた傷は「イタミ」として状態欄に記載いたします。
↑「ホツ(ホツレ)」
後天的に出来た、口縁や高台などに見られることが多い傷です。
「ホツ」はほんの数ミリの小さな欠けを指すことが多いです。
↑「削れ・ソゲ」
ホツよりも大きく、削げ落ちたような傷を指します。
釉薬ごと削れて、素地が見えています。
↑「ニュウ」
釉、胎土ともにヒビが入った状態を指します。
器の表裏に一本線のような跡が見られるのが特徴です。
↑「修繕跡」
金継ぎや漆継ぎなどで傷を直した跡です。
後天的なものなので傷扱いとなりますが、新しい景色として味わい深いものがあります。
今回は、おおまかに陶磁器の器でよく見られる景色や傷の種類をご紹介しました。
骨董の器は、とにかくじっくり鑑賞することや想像してみることが楽しむコツとなります。
そのために前提として時代物の個性について知っておいてもらえましたら幸いです。
オンラインショップはこちらから