100年以上前に作られた、希少価値のある古い工芸品の器のことです。
※うつわや古季では近代の作家物も取り扱っていますが、この記事では「名も無き職人」によって作られた器についてお話しします。
その昔、まだ機械や電子機器が無い時代から、手仕事によって多くの工芸品が生まれてきました。
作者や窯の銘すら入れない時代の「名も無き職人」の手によって生産された器が現代に残っています。
伊万里焼や九谷焼などは縁起の良い文様が描かれていることが多く、繰り返し繰り返しの工程で作られた器には職人の純粋な祈りが込められているようです。
骨董の器に触れるとき。
この器は長い年月を経て今ここに存在するんだと考えると不思議な感覚になり、物を通じて時代を越えたつながりを感じることができます。
当店に骨董の器が入荷するとき、古い木箱に入っていて蔵出しの状態のままであることが多いです。
その器が何年、何十年とどのくらい木箱の中で眠っていたのかは分かりませんが、まずは一つ一つ出して目視していきます。
このときが、一番器のストーリーを感じる瞬間かもしれません。
ある時は、立派な木箱に特注品のような美しい器が入っていて緩衝材の新聞を開くと元号は明治…
状態もほぼ全て綺麗なので、ハレの日に一度使ったきりなのか、それとも使われる機会が今まで来なかったのかと想像したり。
ある時は、古びた木箱の中に入った20枚の器を取り出してみて、そのほとんどに修繕跡が…
こういった器は店頭には並べられませんが、継いで繰り返し使われるほど愛用されてきたのかと思いを馳せたり。
骨董好きな人の中には経年変化の古い質感を好む方が多いと思いますが、器は暮らしの道具であると考えているので、磁器は入荷後漂白に少し漬けて、消毒洗浄をしたり軽く磨いたりします。
するとピカピカになります。
※留意点として、色絵や金彩はあまり磨くと剥げてしまうのでほどほどに
すぐに使える状態で店頭に並べております。
「使うのがもったいない、敷居が高そう」という印象を持っている方もいるかもしれません。
しかし、道具として作られた工芸品はやはり使っていると暮らしに馴染みます。
長い年月を経て蔵から目覚めた器は、現代の空間で使ってこそ輝くものがあります。
和食はもちろんのこと、中華や洋食、デザートなど意外となんでも使えます。
現代食器やインテリアと組み合わせても素敵です。
毎日の暮らしを彩ってくれる骨董の器を、生活に取り入れてみませんか?
その2→【状態について】骨董の器の個性?
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